さらに。些細な生活

なんとか、しようと。

久しぶりの、どっぷり歌舞伎。

久々に歌舞伎座。今年の芸術祭は十八代中村勘三郎追悼公演。

当初はやっぱり仁左衛門助六の夜の部だけのつもりだったのだけど、発売日をだいぶ過ぎてからふと魔がさしてチケットサイトを覗いたら。夜の部と同じ日で3階に残り1席だ。これは昼も行くべしってことね?と。

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昼の部の最初は「三人吉三巴白浪」。3年前観たシネマ歌舞伎の「三人吉三」以来、舞台でも一度は観たくって。お嬢はもちろん七之助、お坊と和尚は巳之助に獅童。今日の上演は3人の出会いの下りの部分だけ。 

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 その、自分的にはこの演目一番の見どころのお嬢吉三の名乗りのまさに最中。いやに荷物の多い同年配の大柄な女性が通路から「あのぉお席何番ですか」と話しかけてくるので慌ててバッグからチケット取りだして確認。

幕が開いた時点で隣の席が空いたままだったので、これは途中から誰か入ってくるとは思っていたんだが、よりによって演目の中で一番盛り上がろうってこのタイミングで。

結局席を間違ってたのは遅れてきた彼女の方。休憩に入ってから「すみません自分の番号が18番だと思い込んでて」とお詫びが一言あるくらいには感じ悪いヒトでもないんだけど。(歌舞伎だけに18番?)

席間違いは自分も飛行機でたまにやらかす(だいたい列ずれ。言い訳のようだけどシートでなく物入れに列が書いてあるからよく見ないとずれてしまう)けど、それでも自分の席と思ったところに先に誰か座ってたら、まず自分の券を先に確認してから相手に声をかけるけどなぁ。きっとチケット取った時点で取り間違えてたんだろう。

そしてその後も本来の席に着くのにごそごそ、荷物直すのにごそごそ。やっと落ち着いたかと思えばケータイの着信が鳴り出してまたごそごそ。

いろいろあって遅れて入るのは仕方ないにしても、劇場に着いた時点で荷物をまとめるなりロッカーに預けるなりケータイのスイッチ切るなりある程度支度を整えてから席に向かうとか、なんなら30分しかない演目がほぼ半分以上過ぎているんだから、終わるまで入口付近で少し待つとか。

休憩時間もさらに奥の席のヒトの出入りの気配にまったく気づけないでどっかり腰下ろしたままだったり、悪気は全くなさげでも失礼だけど立ち居振る舞いの端々に漂ってる鈍くさい感を、我が事として気をつけようと思った。

 

 

気を取り直して「大江山酒呑童子」。岡本玲子「陰陽師」最終巻だけ読んでなかったの今年になって読んだのを思い出しつつ、途中少し夢心地(…)。

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f:id:hx2:20181005124734j:plain このあと35分の休憩でお弁当。たまには歌舞伎座内の食事処もありかなぁなんて思ったものの、結局新宿小田急で今半すきやき弁当を買ってって席で食べた。おいしおいし。最近なかなか弁当作りもままならんのだけど、今度こういうの家でも作ってみよ。

 

昼の部最後「東山桜荘子 佐倉義民伝」。

この演目は初めて。初演1851年、作品の題材自体はさらにその200年くらい。

直訴をするからには宗吾(白鸚)本人だけでなく妻子(七之助&子役)もほぼ死罪。その辺どう考えているのかいないのか。江戸へと発てばもう二度と会えないことより、その辺りのことをどう感じているのかが台詞回しからだとちょっとわかりづらいのは芝居を観てる自分の理解力の足りなさかもだけど。

「いがみの権太」や「まま炊き」、「寺子屋」、「熊谷陣屋」と主筋の身代わりに死んでしまうコドモの話は枚挙にいとまがないけど、それらとは似ているようで、ちょっと事情が違うような。幕末の江戸の観客はこの話、どういう受けとめようで観たんだろうか。

 

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そして夜の部。

これも3階席だけど、別のブロック。これで昼の部の隣の大荷物さんがまた隣だったらどうしようかとちょっと思ったけど、さすがにそこまでの偶然は起きない。

「宮島のだんまり」、これは「三人吉三」以上に本来の話から完全に切り離されちゃってる演目。衣裳からあれが誰、これが誰って役どころが分かるレベルには到達しないままで終わりそうなワタシ。

吉野山」は玉三郎静御前勘九郎狐忠信、早見藤太が巳之助。さすがにこの演目だけはこれまでに何回と見てるけど、何度見ても楽しい。鼓に張られた親の皮を慕って…って心理だけは何度見ても理解はしがたいけど。(だって親とはいえ鼓の皮、だよ?)

 

 

f:id:hx2:20181005182529j:plain この後はいよいよ「助六曲輪初花桜」ってことで、より一層ほろ酔い気分で仁左衛門さんの御姿に耽溺しようかと2階の売店でスパークリングワイン500円を。

 

この演目も2年ほど前に歌舞伎座で観たんだけど、海老蔵助六DQN感があれはあれでよかったかなぁ、とか恐ろしく失礼なコト言ってるけれども、でも助六ってつまりそういうお役なので。え?違います?

さて今年は仁左衛門助六。当代一の色男であることに、なんら異論はないけれどDQN感は薄くてさすがに気品が。え?だから助六ってそういうのと違うんですか?

いくら親の仇を探して刀を改めるのが目的とは言っても、ヒトのアタマに下駄載せたり股くぐれとか、粋というより、ねぇ。

そんな助六に入れあげて、上客である意休を袖にして恥をかかせる揚巻も揚巻でどうかとも思うけど、現実にはそういうことできないからこそ観てる側はすっきりするってのは分かる。

 

これも何年か前の公演で、玉三郎の妹背山のお三輪が花道に表れた瞬間観客の全員が息を飲んで劇場が真空状態のようになってたけど、今日も仁左衛門助六が花道に表れると、女性客のほぼ全員がいっせいにオペラグラスをスナイパーのようにすちゃっと装着するタイミングが揃っててすごかった。

今回は揚巻の七之助勘九郎の白酒売新兵衛。新兵衛と助六兄弟の母満江を玉三郎ってもったいないというか贅沢というか。生涯赤姫に固執するより老け役、指導役へとシフトしていく姿勢は潔いけど。

ちなみに12月の歌舞伎座夜のAプロは、もう映像でしか見られないのではと思っていた玉三郎「阿古屋」。これはチケット発売日をまず休みか遅番にしなくてはだけど、それでも取れるかどうか厳しそうだけど、なんとか観たい。

その前の11月猿之助初役の「法界坊」、これもまだ、発売前。

 

芝居道楽に関してはあんまり欲張る体力はないと自覚して、最近は行きたかったけど結諦めた公演がいくつもある。それでもなんだかんだ、こうやって狂騒はまだしばらくは続く、って感じ。

3回目の成人式を和服で歌舞伎座でプロジェクト、やっぱりもう少し実現に向けて真面目に考えようかな。とかまた少し欲というか未練というか。